通販で買った中国製バッテリーが燃えてAmazonと戦う友人の話
【連載】山本一郎「コップの中の百年戦争 ―世の中の不条理やカラクリの根源とは―」
具体的な顛末は友人本人のブログ(note)「Amazonとたたかいます」に詳述されていますが、ネットでの越境ECが当たり前になってきた昨今、中国製に関わらず海外製製品の不良や事故による補償などが問題になる機会が増えてきました。
最近では、巣ごもり需要も増えてきたため、海外のショッピングサイトを利用した結果、違法な模造品や不良品を掴まされるケースも急増。Amazonのようなプラットフォーマーによる業者選別もきちんと進んでいないというような状況だと、今回の友人のケースのように万が一デカい被害が出たとき泣き寝入りをするしかなくなってしまいます。もちろん、Amazonからすれば「あくまで場を貸して決裁を一部代行しただけ」という意味では、責任を取れと言われてもどうしようもないと反論してくることは考えられます。でも、誰かが製品起因の事故を保証してくれなければ、消費者の側が泣き寝入るしかなくなるのもまた現実です。
国民生活センターにも「越境消費者センター」が設置されているものの、そもそも中国などの相手国にカウンターパートがない国の事業者だと対象外です。必然的に、公的な活動に期待しようにも売買を仲介したプラットフォーマーなどの責任を問わなければならない状況に変わりはありません。
また、最近では「BASE」や「stores」など、決済サービスも込みで誰でも自由にショップが開設できますよ、というサービスが登場し、一部で人気になっています。「メルカリ」や「ラクマ」でも、日本人のアカウントのように見えて実際には海外からの発送でモノを売る外国人も増えてきております。
さらには、「Campfire」などクラウドファンディングでも、他国ですでに販売されているアイデア雑貨を、さも新たに開発することに挑戦するテイで資金集めをするケースも散見され、安全なオンライン取引をどう実現するかは日本の通販界隈では大変重要な問題になっているわけです。サービスを提供するプラットフォーマー側も問題が起きないよう監視はしているはずですが、やはり目が行き届かないことがあるというのが現実なのではないでしょうか。
そもそも、プラットフォーマーはネットを使い便利にサービスを提供する一方、ネットとサーバーで自由自在な規模でのビジネス(スケーラブル)を実現しています。そこにダイレクトに人の目の監視を入れて、確実に取引の確認を行うことができる、というわけではないのが実情です。現実を見れば、ある程度は、エラーが起きるのも仕方がないのもまた事実なんですよね。そういう「誰でもショップが開設できる」「マーケットプレイスにどのお店も簡単に出品できる」「知らない人のプロジェクトに投資して応援できる」という手軽さを売りにサービスが展開されたとき、当然のことながら変なものもたくさん紛れ込んでくるということなのでしょう。
「怪しい業者からモノを買わなきゃいいじゃん」となりやすいんですが、例えば、国内ではなかなか店舗で買えない人気のシューズを海外通販と知らずに買ってしまった高校生や、無料で便利なアプリが使えると思ってダウンロードしてみたら次月から自動的に課金されてしまう契約になっていた話などは現存します。うっかり「やられた」ときに、泣き寝入りをしなくて済むような仕組みをかんがえなければならないのは間違いありません。
粗悪な中華バッテリーのように、うっかり燃えたら火事になるだけでなく人命まで損なわれかねない現状で、どうやってこれらの問題をカバーしていくのか、ちゃんと国民の議論として世論に火をつけていかなければならないなと思いました。
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